
的確な投資判断が求められる投資顧問会社にとっては、収集する情報の質も問われることになる。真偽はむろんのこと、グローバル化とIT化によって次々に入ってくる莫大な量の情報を精査して、有益な情報だけをピックアップしていかなくてはならない。投資顧問会社にとって、情報収集能力と情報管理能力はどこにも負けられないものと言える。個人投資家向け投資顧問会社で知られる「イー・キャピタル」の阿部隆氏に話を伺った。
投資顧問会社にとって情報収集は重要な業務のひとつだと思うのですが……
情報収集そのものは、これだけインターネットが進歩して、世界の金融市場の情報がリアルタイムで入ってくる時代ですから、投資顧問会社によって情報収集にそう大差はないと思います。個人投資家でさえも、プロの機関投資家に匹敵する情報収集が可能な時代では、情報そのものに大きな差はないというわけです。
現在では、数多くある情報をいかにセレクトして、その情報が持つ意味をどう分析すればいいのか。その情報を投資家の皆さんに、どう分析して、どんな伝え方をすればいいのか。そちらの方が求められているといえます。
私はよく、我々の仕事を「調理人」に例えるんですが、様々な食材をいかに調理し、味付けをしてお客さまに提供するか。投資情報を上手に調理して、最高の形でお客さまに提供できるか。投資顧問会社には、そんな部分も求められていると思います。
分析の方法や情報の伝え方なども、お客さまによって異なるということでしょうか?
情報というのは、どういう方向でとらえるかによって大きく異なってきます。たとえば、好業績の決算を発表した企業があったとします。常識で考えれば、株価は上昇するわけですが、好決算を織り込みながらすでに株価が上昇した後であれば、好決算発表と同時に「材料出尽くし」で株価が下落することになります。
逆に、悪い決算を発表した企業の株価も、そのまま素直にとれば株価下落ですが、やはり決算発表と同時に「悪材料出尽くし」で株価が上昇する場合もあります。つまり、株式市場というのはそのニュースだけで判断できないということです。
株式市場の投資情報というのは、大きく分けると「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の2つしかありませんが、その両者をきちんと総合的にチェックしないと間違った判断をしてしまうことになります。決算発表はファンダメンタルズ情報の典型的なものですが、チャートなどで株価の推移を見ないと正しい判断はできないということです。
たとえば、一般の個人投資家では入手できない情報ソースといったようなものはあるんでしょうか。
確かに、入ってくる情報量は半端なものではありませんが、情報の質というとそうそう大きな違いがあるものではありません。投資顧問会社というと特殊なニュースソースがあって、いち早く情報を入手できるのではないか、というイメージがあるのも事実です。実際のところ、弊社も10年近く投資顧問会社をやっていますから、様々な人脈は形成されています。弊社の社員の中にも、創立以前からこの世界にいるベテランもおり、人脈のネットワークは構築しています。
周知のように、金融の世界では堂々と噂レベルの話でもニュースになってしまう世界です。そういう意味では、その情報の真偽を確かめることが重要になってきます。数多く流れている情報を確認するために、そうした人脈を使うケースは数多くあります。
情報の入手は簡単でも、それをきちんと確認して、そのニュースバリューを見極められるかどうか。それが投資顧問会社に求められているのだと思います。むろん、株式市場は速報性が第一。情報によっては、瞬時に株価に影響するものもあり、そういうものは即座にニュースとしてお客様にお伝えすることもあります。速報性が高いかどうかの見極めも重要なのです。
やはり、兜町には独自の情報ネットワークなどがあるのでしょうか。
たとえば、この世界で長年のキャリアを持ったベテランの記者さん達の横のつながり等は、非常に参考になる情報ソースです。現在では、株式専門紙なども少なくなってきて、活動されている方も減ってきているようですが。
根拠のない情報なのか、それとも可能性があるのか、そういった情報を精査するためには、どうしてもこの業界で長年活動しているベテラン記者などの情報網が必要になってきます。ネットで流れる膨大なニュースをチェックするのは大変ですが、最後の部分では人間同士のネットワークなどが威力を発揮する場合もあるということです。(文責:サーチナ・メディア事業部)
阿部隆(あべたかし)